ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

ビール飲みたい

痔が悪化したので、病院に行って処置してもらった。それが1月4日のことで、それ以来酒を飲んでいない。もう5日目になる。

飲みたい。ビールが飲みたい。さっき、尾野真千子が瓶ビールをビールグラスに注いで飲んでいる映像を見てしまって、羨ましかった。

 

ビールの何がおいしいんだよって子供に聞かれたら僕は「子供にはわかんないだろうなあ」と薄ら笑いを浮かべてごまかすだろう。あれをどうしてうまいと感じるのか、僕にはてんでわからないからだ。理由はわからないけど、やっぱりビールはうまいと思う。単に中毒な可能性もあるけど。

 

酒を飲まなくなると、代わりに清涼飲料水を飲んでしまう。コカコーラ、ジンジャーエール、スプライト、リプトン、そういうのを飲んでしまう。

今日は朝のゴミ出しのついでにコンビニに寄って、午後の紅茶 レモンティー ホットを買った。帰りながら飲んだ。これが、ぜんぜんおいしくなかった。

午後の紅茶 レモンティー ホットは、甘ったるいだけの生温かい砂糖水で、そこにはレモンの風味なんてちっとも感じられないし、それどころか紅茶を知覚することもできなかった。あんなに好きだった午後ティーのことが、もうこれっぽっちも好きじゃなくなってた。中学生のころからずっと飲んでた午後ティー、その味がもうまったく受け入れられないのだった。

午後の紅茶 レモンティー ホットが気に食わないのは、甘ったるくて、「レモンティー」と銘打ってるのにちっともレモンも紅茶も感じられなくて、「おれはいったい何を飲んでいるんだ」という不安にさいなまれるからだ。単純明快。

 

午後ティーが受け入れられなくなった理由は説明できるのに、ビールを好きな理由はぜんぜん説明できないのは、なぜなのか。説明できる気がしない。というか、ビールを飲めない今、僕はビールの味を思い出すことができない。ひょっとして僕はビールをちゃんと味わったことがないのかもしれない、とまで思えてきた。「ビールはのどごし」だなんていうけど、確かに僕は舌で感じてなかったのかもしれない。はやくビールを飲んで、ビールのことを思い出したい。

 

ビールを飲んでいる時間はあっという間に過ぎ去り、飲めないときにはひたすらに恋しくなる。

今度ビールを飲めたそのとき、僕がその味を「とらえるぞ!」と力んだと同時に、ビールはするするっと喉の奥に逃げていくんだろう。それを僕はきっと好ましく思うだろう。

もしかしたら僕は、ビールそのものではなく、ビールを飲むという行為を好いてるのかもしれない。「恋に恋してる」みたいな少年少女のように。

 

酒を飲まなくなって5日目、指のむくみがとれたのか、結婚指輪がゆるくなったような気がする。