ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

アンド・アイ・ラブ・ハー

この外国産の生ビールは「クラシックバーガー」とやらにとても合うんだろうなあとレジ上の写真を眺めながらグラスを空ける。

イヤフォンの外からビートルズが聞こえてくる。ジョージ・ハリスンのガットギターがもの悲しいので、イヤフォンを取って聞き入ってしまう。“And I Love Her”だ。

ビートルズ自体は素晴らしいけど、ビートルズしかかけない店はなんとなく苦手だ。コムサとか。でも俺は親にコムサに連れられていったから、ビートルズを覚えたのかもしれない。

ビートルズのコピーバンドを組んで下北沢のビートルズバー?で2回ほど演奏したことがある。俺は“Revolution”や“Twist & Shout”、“Don't Let Me Down”なんかを歌った。

ひよっこ」のビートルズ回、というか宗男回よかった。宗男がいつも陽気なワケ、ビートルズに焦がれたワケ、1枚のチケットのさまざまな価値、島谷くんの恵まれているがゆえの苦悩とか、その辺りいろいろ考えさせられた。島谷くんほどじゃないが、俺は裕福な家庭に育った。でも島谷くんのように真っ向から自分の裕福を見据えなかった。恵まれてしまったことへの恥と向き合わず、友人たちには「言うほど恵まれてないよ」とウソをついた。恵まれた境遇を利用してやろうという胆力もなかった。だから島谷くんのまっすぐでささいな、それでいて今後の生き方を決定づけてしまうようなクリティカルな苦悩がとても眩しい。宗男が彼に「みね子をよろしくな!」と言うのも頷ける。でも個人的にはみね子を通じて島谷くんと早苗さんが接近するのを見たい、逆にベタか。

 

“And I Love Her”が終わった、ビールを飲み干し、もう1杯もらった。飲みながらイヤフォンを耳に戻す。ドレイクの“Passionfruit”が流れてる、とてもいい曲だが今日の気分には“And I Love Her”のが良い。俺は彼女を愛してる、そんな風にあなたに向けて歌ってる方が。のろけとはわけが違う。その雰囲気を出すにはジョージ・ハリスンのギターが必要で、そういうのが俺にはまだねえ。

 

ドライブして海に着いて、ビーチでアメリカの酒飲みながらハンバーガー食いてえ。飲酒運転になるからできないけど。