わさび
夏になると、「わさび味」のスナック菓子がたくさんお店に並ぶのでうれしい。「わさび味」好き。
きのうスーパーに行ったらチップスターの「信州わさび味」が棚に並んでいて、買ってしまった。けっこう辛い。おいしい。
しかし、山葵をひらがなに開くのは、なんか軟弱な感じがする。ちょっと昔までなら「ワサビ」とカタカナで書いてあったような気もする。「わさび」の方が字面がまるまるとしていて、そのゆるふわ感が時流に合っているのかもしれないけど、あの鼻にツーンと抜ける辛さを伝えるには、「ワサビ」の方がいいんじゃないかと思う。
メディアが動植物の名称を書く際には、ひらがな、カタカナ、漢字のどれを用いるのか、というのに一定のルールがあるらしく、常用漢字があれば漢字、なければひらがな。そして学術的な文脈で言及される際には、カタカナで書くのが一般的らしい(動物や植物の名の表記。カタカナ、ひらがな、漢字、などその基準は? | ことば(放送用語) - 放送現場の疑問・視聴者の疑問 | NHK放送文化研究所)
俺はこの文章を続けるにあたって、「WASABI」の表記を一応決定しなければならない。なぜならブログは「個人メディア」だからだ。ルールを知ってしまったからには、従わないわけにはいかない。
「アブラナ科ワサビ属」の植物である「ワサビ」の辛みは、ブドウ糖とからし油の結合した配糖体であるシニグリンが、「ワサビ」をすりおろす際に放出されるミロシナーゼの働きによって分解され、アリルイソチオシアネート(アリルからし油)が生成されることによって、生じるものなので、トウガラシの辛味成分であるカプサイシンとは「辛さ」の種類が異なるのだ、という話を俺がしたいのなら、ここから先は「ワサビ」で表記を統一するのだけれど、この一文を書くために20分かかるほどに俺はワサビに関しての知識がないし、もともと俺が書きたかったのはこういうことではなかった。ので、以下「わさび」に表記を統一して、ゆるふわっと書け抜ける。
わさび味のスナック菓子といって真っ先に思いだされるのは山芳製菓の「わさビーフ」。これは1987年以来、通年で発売されているから知名度も高いだろうなあと思う。俺もよく食べちゃう。あと「亀田の柿の種」もわさび味がずっと店に並んでいる。
でもわさび味スナックって夏になると期間限定で発売されるものがとても多い印象で、それはなんでなんだろうってことを書こうとしていたのだった。
わさびは通年出荷され、特に旬があるわけではない。敷いて言うなら、晩秋から冬がもっとも辛味と風味があって、3月から5月はそれらが薄れる。ってことは夏になるとわさび味のスナックが乱発されるのは、わさび側の都合ではない。
夏はアツアツの辛いもん食って汗かいてナンボでしょ!みたいなこと言って、辛いカレーやらキムチチゲやらをダラダラ汗をたらしながら食べる人は多い。俺は汗をかくのが何よりも嫌いなので、その気持ちはわからない。
まあ発汗して気化作用で体を冷やすってんならわかる。
そこで疑問なのは、わさび食べて汗かくっけ?ってこと。カプサイシンに発汗作用や脂肪燃焼作用があるのはよく知られているけど、アリルイソチオシアネートにはあるんだろうか。わさび食べて汗かいた経験はないし、そういう情報もちょっと検索した限りだと出てこなかった。
夏になるとわさび味の商品を出す理由があんまりわからないので、どこの会社も通年でわさび味スナックを出荷しつづけてほしいな、と思う。わさビーフとチップスターはやっぱり別物だし、選択肢は多い方がいい。
さんざん言ってきたけど、やっぱりおいしい刺身をわさび醤油で食べたい……。スナック菓子よりなま物が食べたい。ひとり暮らししていると、刺身はなかなか食べられない。実家にいるころ、2日に1回は刺身が食卓に並んだものだった。