ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

髪が伸びた

髪を伸ばしつづけてもう半年になる。最後に切ってもらったのは3月30日のこと。そのときはまだ緊急事態宣言も発令されていなかったし、僕はまだ20代だった。

汗っかきなので、暑い季節には美容室から足が遠のく。夏はいつも美容室に着いた時点で汗だく、おまけにカット時に被せられる通気性の悪いポンチョのせいで汗が引くことはない。頭皮からもかなり発汗するので、美容師にその頭を触られると恥ずかしいし、申し訳ない気持になる。だから夏は美容室になるべく行かない。というわけでコロナもあいまって美容室から半年も足が遠のいてしまった。

 

前髪は真っ直ぐに下ろすと下唇を隠すし、襟足もサイドもだいぶ野暮ったい。でも実は今の状態が無頼って感じで気に入ってたりする。人から見ればだらしないだけなんだろうが、僕としてはこんなに伸ばしつづけるのにも勇気がいったのだ。髪を伸ばすことも、髪を切ることも、自意識過剰な僕にとっては簡単なことではない。

せっかくこんなに伸ばしたんだから、次に美容室に行くときにはパーマでもあてていい感じにしてもらいたいけれど、じっとしているのが苦手な暑がりの僕は尻込みしている。

 

2歳を過ぎた娘は生まれてから一度も髪を切ったことがない。彼女はもともと癖っ毛で、A&Wのカーリーフライのようにくるくると巻いている柔らかくて細い髪の毛たちは最近、まるでレイア姫のようにキマってる。いいかげん切ったほうがよさそうなものだけれど、ここまで伸ばしつづけるとこれもまたタイミングが難しかったりして。

 

妻は定期的に美容室に行っていて、いつもインナーカラーを赤や紫や金色やピンクに染めあげて帰ってくる。僕も髪を染めてみたい気持はあるが、染めるのはやたら時間がかかるっぽいので、パーマに二の足を踏むのと同じ理由でためらっている。

 

そういえば美容室に行かないのは暑がりなこと以外にも理由がある、太ったのだ。娘が生まれてから体重が10キロ以上増えた。美容室の鏡越しに今の自分の輪郭と対峙するのはできることなら避けたい。だからまだ当分のあいだは美容室に行けないんじゃないか、と思う。