『ベイビー・ドライバー』感想
『ベイビー・ドライバー』クソおもしろかった。
『ラ・ラ・ランド』と比べるようなことが言われたりするけど全然別物だから『ラ・ラ・ランド』ダメだったとしても『ベイビー・ドライバー』は見た方がいい。
ベイビーの耳鳴りを搔き消すため、音楽はずっと鳴り止まない。映画は目を釘づけにするだけでなく、耳までも拘束できる。しかも映像の運動が音楽によってブーストかけられるので、音楽うるせえよ!みたいな気分には決してならない。常にモーションをエモーションに昇華するための音楽だけが鳴っている。
やっぱりカーチェイスってほんものだから興奮する。CGだとコンピューターで作られた映像だからどんな風に撮ったんだろう?って想像を掻き立てられることが少ないけど、カーアクションは車があってドライバーがいて道路があってカメラがあれば撮れるわけで、だから実際に車をハチャメチャに走らせてそれを撮るわけで、車が躍動してる現実の運動が見られるという贅沢が嬉しい。メイキングを見たくなる感じ。今年は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』と『キングコング 髑髏島の巨神』も最高に好きだったんだけど、贅沢さでいうと『ベイビー・ドライバー』がいちばんかもしれない。
役者の死にっぷりが最高に笑える。あの人が車に容赦なく轢かれるとこは爆笑してしまった。
女優はヒロイン・デボラ役のリリー・ジェームズより、ダーリン役のエイザ・ゴンザレスのが魅力的だった。エイザさん、俺と4ヶ月しか誕生日変わらないのにめちゃくちゃ色っぽい……って落ち込んだけど、俺も27歳なわけで、27歳が色っぽいのはなんら不思議なことではなかったことに気づいてよりいっそう落ち込んだ。
この『ベイビー・ドライバー』はストーリー展開とかじゃなくて有機的な映像と音楽の同期がもたらす快楽を楽しむものだ。まさに見ること聞くことの原初的な喜びに触れられるという点においてまっとうな映画。フィクションというよりも、いまそこで車が躍動し、銃弾が弾け、男と女が出会い、音楽が鳴っている。このリアリティーが、映像と音楽のコラボレーションによって魔法的フィクションに結実するさまが痛快なんだ。
オープニングしていきなりひとつめのクライマックスになるカーチェイスシーンがyoutubeで丸々公開されています。