ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

雨に唄えば

雨降る恵比寿の野外で『雨に唄えば』を見た。

 

偶然通りかかって知ったので、途中からだった。スクリーン向かって左側のカフェの店外席に座って見た。雨が降っていて一時中断していたが無事再開した。再開したところからラストまで見た。

 

俺の好きな「グッド・モーニング」を見れた。男女3人で広い部屋を存分に使って歌い踊り、ソファに立ってソファを倒し、倒れたソファにに寄りかかって笑い合う、この奔放さがとても好きだ。

 

クライマックスの「雨に唄えば」のシーンも見た。映画初見のときはこのあまりにも有名なシーンはあらかじめ知っていたのでどこか白けて見てしまったが、今日はとても染みた。

子供のころの俺はあのジーン・ケリーのように雨を喜んでいた。水たまりを蹴飛ばし、傘を振り回し、びしゃびしゃに雨に濡れた。雨の日が好きだった。蛍光灯無しではまともに黒板も見えなくなるようなどんよりした雨に打たれる教室が好きだった。しかし今の俺は雨に降られると、洗濯物が乾かないとか靴が濡れるとか持病の蓄膿症が痛むとかで不機嫌になってしまう。子供のころの雨は楽しいイベントだったのに、大人になると雨は生活のエラーになってしまった。

でも『雨に唄えば』のジーン・ケリーは大人のくせに雨のなか歌い踊る。それがとてもうらやましくて、ビールの飲み過ぎもあるだろうけど、俺はなんだか泣けてきてしまった。

 

雨に唄えば』が終わると、傘をさして駅に向かう。今日一日いっしょに過ごしてくれた恋人の友人カップルと改札で別れる。今日は4人で『スパイダーマン ホームカミング』を見たのだ。そういえば『スパイダーマン』の話はほとんどしなかった。

 

帰り道、俺は「あなたが会わせてくれる男友だちはみんな、恋人のことをめちゃくちゃ大事にしているね」と恋人に言った。「そうなの、そういうかっこいい男としか友だちにならない」と言った恋人が誇らしい。

俺も恋人のことをもっと大切にしたいと思った。