ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

久しぶりに徘徊

娘にミルクを飲ませ寝かしつけたあと、テープ起こしの作業を終わらせ、いくつかメールの返信をすると24時半で、なんとなく神経が高ぶっていた。静めるためにアルコールがほしい。そう思って、妻と娘と猫が寝静まった部屋から忍び足で出る。玄関ドアを閉める刹那、妻の咳こむ音が聞こえて、なんとなく申しわけなくなる。

雨のそぼ降る商店街に人はまばらで、誰に気をつかうこともなく気ままに歩ける。ファミリーマートで買ったトリスハイボール・ピールレモンを供に徘徊する。このハイボールファミリーマートサークルKサンクスの限定商品で、アルコール度数が6%なのが嬉しい。ストロングゼロのブレイク以来、各社度数9%のアルコール飲料を乱発していたけれど、ここに来て6%を出してくるあたり、手練れだと思った。かゆいところに手が届く。実際、このハイボールはすごく軽やかで飲みやすく、なんだかこのまま眠るのはもったいない夜に一杯引っかけるにはぴったりだ。

 

右手には缶、左手には閉じられたままのビニール傘を持って、商店街を駅へと歩いてみる。

こんな町にも、エッチなお店の客引きがいる。上下パジャマにグレーパーカーを被った俺にも、彼女らは「お兄さん、遊んでかない?」と声をかけてくる。うっとうしい。遊んでるヒマはないんだ。

 

駅でUターンして家のほうに向かう。近所のレンタルビデオ屋に寄ってみた。レンタルカードを作ってもいいかなと思ったけれど、自分がいま免許証を失くしている状況にあることを思い出す。ベビーシッターのマッチングアプリに登録する際、免許証の写しをアップロードする必要があって、その撮影のために財布から取り出したのを最後に、見失った。家のどこかにあるとは思うのだけれど。明日探さなくてはならない。

借りられないDVDを眺めながら店内を歩く。どれもこれもネットで見られるな、と思う。ここにあってネットにないものと、ここになくてネットにあるものだったら、後者の方が圧倒的に多い。

最近は生後6ヶ月の娘を連れて昼食の買い出しに行くのがめんどくさく、UberEatsに頼ることも間々ある。今日はネットで買ったニトリのベビーベッドが佐川急便の手によって届けられた。日用品もAmazonで買うことにした。ものを買うために家から出る必要はもうほとんどない。消費については、家にいながらにして大体こと足りてしまう現状に、味気なさを覚えながらも、俺は低きに流れていく。あまりにも時代錯誤な感傷だと、我ながら思う。便利なほうがいいに決まってるじゃん、というのが、2018年の人々の気分だろうから。こないだ商店街を歩いていた女子大生風のグループが「私、最近喫茶店が好き!カフェより喫茶店のほうがかわいくない?」「わかる!クリームソーダね」と話していて、それは実に2018年の女子大生らしい仕草だなと思った。

 

ハイボールもとっくに飲み干してしまったので、レンタルビデオ屋を出て家に帰る。ゆっくりとドアを閉め、パーカーを脱ぎ、口をゆすいで、ベッドに入ると妻が「終わった?」と聞くから「うん。おやすみ、愛してるよ」と返事をすると「電気消してけろ」と言われたので、リモコンで豆電球を消した。なんとなくまだ目が冴えていて、だから誰にとっても必要のない文章を書き、今日に抗った。