ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

ここ1ヶ月で見た映画

勝手にふるえてろ』がとてもおもしろかった。そこまで期待してなかったけど、松岡茉優の独白、どこまでいってもモノローグだった世界を、それでも悲痛に終始せずユーモアたっぷりに描いた上で、しっかりラストで落とし前もつけてくれる最高にエモーショナルな映画だった。
あの、会社の休憩室でみんながアラーム設定して雑魚寝するところ最高によかった。時間が来ると各自の傍に置かれたスマートフォンが点灯しだす。孤独に光るスマートフォンたちが、海の底で自らの存在を静かに(静かに)主張するようで、美しかった。
見てからだいぶ経ってしまったので、だいぶ忘れたし、ビール飲みながら見てたのでトイレに立ってしまったところもあった(マンションでイチとニとヨシカがエレベータに乗り込んだところ)。なのでぜひ、もう一度見たい。おれは素直なので、カフェの女の子とも釣り人とも駅員さんともバスで一緒になる清掃のおばさんとも、ヨシカは通じ合っていると信じて疑わなかった。ゆえにマンションでのクライマックス以降は涙を堪えるばかりでした。ヨシカはおれだ。映画を見てはじめてそんな気持ちになった。ニの笑顔がとても好き。黒猫チェルシー聞いたことないんだけど聞こうかな。渡辺大知『火花』でもとてもよかった。
ところで、JRの松岡茉優が温泉に浸かっている「行くぜ、東北。冬のごほうび」のポスターが最寄駅のエスカレーター付近に貼られている。通るたびに毎回どうしても目がいってしまう。なんだか恥ずかしいので、早く外してほしい。好きなポスターだけど。

 

スターウォーズ 最後のジェダイ』もよかった。ハン・ソロ亡き今、ようやく立ち上がったルークも後続に未来を託して死に、映画の外ではキャリーフィッシャーが亡くなったため結果的にレイアも物語から予期せぬ退場を強いられるだろう。旧世代のレジェンドたちが死に絶え、次世代に橋渡しをするという意味で、とてもいい続編だったと思う。旧世代から次世代への継承というテーマで貫かれていることは、ラストシーンを伝説と戯れる子供が飾ることからも分かる。
おれは新三部作が始まったとき9歳で、父に連れられて劇場に見にいった。ポッドレースも、ダースモールのライトセーバーも、彼の死にざまも、座禅するクワイガンのかっこよさにも痺れた小学3年生のおれ。しかし昔からのスターウォーズ・ファンは、新三部作を忌み嫌っていたと後年知り、新三部作が好きな自分が少し恥ずかしくなったものだ。でも、今回の『最後のジェダイ』はそんなおれの気持ちを慰めるに十分だった。
過去に憧れ、それを必死で模倣し、乗り越えようとする。そのチャレンジと『最後のジェダイ』のストーリーは同期していた。感動的だった。

『バーフバリ 王の凱旋』も見た。おもしろかったです。ただ、隣に座っていた男女が、はなっからこの映画を「笑いに来てる」のがすごく癪だった。
自分のリアリティの線の内側に閉じこもって、外国の「とんでも映画」を笑ってやろうじゃないか、って姿勢が鼻につく。ああいう人たちはアベンジャーズとかでは笑わないんだろうな。アベンジャーズもバーフバリもひとしく荒唐無稽だ。ただアベンジャーズの方が「おれたちの知っている」リアルをなぞる部分があるから、シリアスに見てしまえる。でもバーフバリだって、ストーリーとしては何も奇をてらったところがない。バーフバリにリアルを感じられない人が、笑うために見に来ている感じにイラついた。
『バーフバリ』、完全にマーベル映画以降って感じでキメのショットが多くて、完全にグローバルな作品だった。船が突如飛行するところだけたじろいでしまったけど。

 

スリー・ビルボード』がヤバかった。ストーリーも演者もカメラも全部がよかった。
燃えさかるビルボードビルボードのあいだを、消火器を持ってマクドーマンドが走るシーン。あのショットはシネスコで見るからグッとくるので、やっぱり映画館で見てほしい。
ウディハレルソン演じる署長の書いた3枚の手紙には涙腺に涙を流さずにはいられない。しかし燃え盛る警察署で火の手に気づかず手紙に読み耽るサム・ロックウェルには泣いていいのか笑っていいのか分からなくなる。シリアスな話なのに笑えるシーンがちょくちょく入ってくるのがいい。真剣に生きるということは笑えることなんだ。
特に気に入ってるシーンの一つは、マグドーマンドが元夫に首を絞められたと思ったらすぐに息子が包丁を持ち出して父親を諌めるところ。そのあとひっくりがえったテーブルを元に戻す彼らの手際の良さに笑った。あのシーンだけで、この一家が何度もこんな衝突を繰り返し、それでもバラバラになりきれないという奇妙な絆を感じる。こういううまさがとても好ましかった。
結末なんてどうでもよくって、そこに至る彼らの生き様を見届けてほしい。「生きる方を選んでいく」映画でした。
勝手にふるえてろ』と同じく再見したい映画です。

 

嘘を愛する女』も見たけど、つまらなかったのでこれで終える。おれは「リアルな長澤まさみ」なんてこれっぽっちも見たくねえんだよ。もっと艶やかで官能的な映画かと勘違いしていた。