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ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

悪夢

雑記

夢をよく見る。鼻づまりが原因だと思う。十分に息が吸えてないから、苦しくて夢を見る。
苦しくて見る夢はだいたい「悪夢」と呼ばれるたぐいのものだ。飛行機がおっこちたり、車が崖から転落したり、刑務所に入れられたり、日常生活を送っているのだけれど過去に人を殺めたような気がしていたり……、とにかく、現実ではのんきそうに大きないびきをかいていたとしても、激しく動く俺の瞳は不幸を見ている。


さっき昼寝していると、俺の父親と、浪人中にお世話になった塾の先生が、親密そうに歩いている現場に出くわす夢を見た。彼らは不倫していた。
地下の広場で行われている縁日に、母とキョーダイと韓国出身の友人と出かけたら、父と先生がふたりして、憐れそうな顔をしながら歩いているのを見かけてしまう。父はトレンチコートに顔をうずめ、綺麗な浴衣に包まれた先生はうつむく父の腰に手を回している。俺は、先生が好きだったし、父が好きじゃなかったから、彼らを見た瞬間、手に持っていた焼きそばを放り投げて父に掴みかかる。
土曜日の90分間を俺だけに捧げてくれていた先生は、どうやら体調が悪いらしい父をかばうし、放り投げたやきそばが顔にかかってしまった韓国出身の友人はキレて地上に出てしまうしで、かなしかった。掴みかかったトレンチコートの下に分厚い鋼の肉体を感じてしまって、俺は少しも勝てそうになかった。


俺はケンカする夢をよく見る。でも、いつだってどんな相手にも負ける。相手の顔めがけて飛ばした左の拳は、右頬に届く前にこんにゃくのようにぐにゃんと曲がってしまうし、蹴りをとばしても脚はすすきのように相手を撫ぜるだけ。いや、どんな相手にも負けると書いたけれど、実は勝負してもらっていることすらほとんどないような気もする。よれよれの手足で空を切る俺の滑稽なさまを、みんな一様に哀れみの目で見るだけだ。こんにゃくとすすきにペチペチされるのを、彼らはただ黙って立って受け止めてくれるだけだ。目が覚めてもその光景を覚えている俺は、自分が情けなくなるだけだ。


この夢の救いは、母とキョーダイが俺の側に残ってくれたことだった。目覚めると、父から「仕送りしたよ」とメールが届いていた。ほっとする。