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ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

痛み

なんだかずっと気分がすぐれない。

それは、このごろ虫歯に悩まされてて、昨日かかった「人生初」の歯医者にいきなり親知らずを抜かれ、治療後に襲ってくる痛みと違和感のせいであり、そして、自分の生き方のふらふら具合に若干嫌気がさしているからでもある。

心身ともにぐずついている。

 

人生初だと思ってたらレントゲンを見ている医者に「ここの歯は治療済みだけどその奥の……」と言われた。「え、僕歯医者初めてなんですけど……」としどろもどろしたら、「若い歯科医」は「いや、ここ詰め物されてますから」といやらしく笑った。確かに幼少期一度だけ母の実家近くにある歯科医院に連れて行かれたことは覚えているのだけれど、そのときの医者は「まだ子どもだし、これくらいなら様子見で大丈夫ですよ、永久歯に生え変わるしね」と言っていたはずだ。すべての歯が生え変わってから歯医者にかかった覚えはない。

しかし母は死んでしまったから事実確認はもうできない。まあ医者が言うんだから、間違いなく俺は過去歯科治療を受けているんだろうけど、でも全然腑に落ちない。今まで俺は「歯医者一度も行ったことないキャラ」で通してたのに。そのキャラは「嘘」だったのだ。知らず知らずのうちに。蓮舫といっしょだ。

ちなみに「若い」と思っていた医者の顔を治療後に改めて見たら、紅葉の盛りのような茶髪を乗せたあまり健康的ではない褐色の面の皮したチャラいおっさんが立っていたので、騙されたような気分だった。でも多分腕は良かった、あっという間の治療だった。チク、ウィーン、ガリガリ、バキッ、ウィーン、ガリガリ、バキバキ、を、ものの30分で済ませてしまったから。

 

帰りに喫茶店で飲み物を飲んでたら、口から少しねじれた細長い金属片が出てきた。不安になって歯科医院に電話をかけるとさっきのチャラ医は「治療中、器具が折れてしまったんですけど、それが舌の下や歯茎に挟まっていたんでしょう。バキュームで吸い込めなかったんだと思います。心配はいらないですよ」と言われ、ああそうですか、はい、ありがとうございます、と電話を切ったんだけど、切った後で「あいつはなんで一言謝らなかったんだろう」と思った。

腕は良さそうだからいいんだけども。

 

 

本当は歯科医院初体験はもっと仰々しい記事にしようと思ってたけど、そうやって大したものを書こうとすると更新が滞ってしまいがちなので、えいや、と書いてしまった。

治療中、体がえらくこわばっていたことや、そういうときほど落ち着こうとして状況を俯瞰しようとしたこと、それでもやっぱりぜんぜん冷静じゃなかったこと(チャラいだけのおっさんを若い方だと勘違いし続けるほどには終始緊張していた)なんかをちゃんと書くつもりだった。まあいいや。

 

 

自分のふらふら具合に嫌気がさしている、とはじめに言った。そんなのは無職歴2年なんだから当然感じるものでしょ、と思われるかもしれない。

けど、俺が感じている自分のふらふらってのは、仕事をしないで親のすねをかじっている状態のことではなくって、なんかもっともっと根っこの部分の、生きる上での価値観というか信念というか、これだけは守らなくては、という部分のぐらつきだったり、そもそもそんなものが無いことを言っている。

 

まあ、たいていの人間ももしかしたらそんな高尚なものはもともと持ち合わせていないのかもしれない。でも人は、仕事や労働に携わっていくことでそれらを築いているかもしれない。だからこのぐらつきや欠落は働いた途端に、さしたる問題ではなくなるのかもしれない(ここまですべて推測)

俺は働きたくないから、別の問題をでっち上げてこっちの問題の方が重要なんだ、と言い訳しているだけだろう(断言してしまうと分が悪くなるから逃げ腰)。

 

 

「勝手に治るどころか、むしろ悪化していくだけなんだから、はやく治療しなよ」と言われた翌日、予約を取って歯医者に行った。

彼の言葉が背中を押してくれたおかげで俺は歯医者に行けたわけだけど、猫背をトンと押されたのは、自分が本気でその痛みに悩まされていたから彼に「今、歯痛くて……」と弱音した結果なわけで、けっきょく、それなりの痛みを感じないと、俺は動けないのだ。痛くなければ痛いよなんて言わないし、痛いよって言わないと、オモテに出さないと、誰も気にかけてくれない。

 

無職はまだ全然痛くない。

ああ、でも、

 

 

収入が得られるようになったらご馳走したい人は何人もいる。