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ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

キューユー

「おまえが前にかかった病気と似たようなの、俺も患った」と慌てたようすでLINEしてきた旧友と、メッセージを数往復させたのだけれど、とつぜん既読も付かなくなったので、1週間後LINEしたら、既読無視に状態が変わったのでまあ良しとしている。

 

僕は彼と大学生生活4年半プラス無職期間半年を共に蕩尽したつもりになってたけど、彼は僕と過ごしていない時間でしっかりリア充していたし、いまではちゃんとレールに復帰して、しかもそれなりにこれからの人生が安泰しているような感じ。僕なんかと親友やってくれてたわけだから、クズには違いないんだけど、押さえるところはしっかり押さえている彼の器用っぷりが憎たらしくて嫉妬していた、でもそこが羨ましくて尊敬できるところでもあった。

 

就活に力の入らない僕を見かねて、同じく就職活動中だった彼は「いっしょにがんばろうぜ、面接練習しようや」と言ってくれたのだけれど、僕にとって彼はあくまでも悪友だったから、マジメなことをいっしょにするなんてとても気恥ずかしかったから、僕はその提案を何かテキトーな冗談を言うことで退けた。あのとき差し伸べられた手をちゃんとつかんでたら僕は。僕らが共に手を携えて協力し合い前進する道への分岐が訪れたのは、後にも先にもあの1回だけだった。

 

こないだ久しぶりに会った彼は、スーツが似合うようになっていて、スマートにお店の予約を決め、とても広くて綺麗な家に住み(BGMはEDMだった、andymori聞きたかったな)、車を運転していた。

 

僕といた4年半プラス半年、彼はどんなによそでリア充してても僕といるときはグズグズしていた。だけど、社会で1年以上揉まれ、彼は変わった。クズの僕には合わせなくなった。おまえも変われよ、と突き放す。

 

大学生のころ、あまりにもいっしょに過ごす時間が多すぎて、僕らは煮詰まっていた。「2ヶ月会わないでみようよ」と提案した。距離を置いてみよう、というわけだった。恋人じゃあるまいし。

2ヶ月後会ったけれど僕らは何にも変わっていなかった。成果はといえば、会わなかった2ヶ月間に起こった多くはない出来事の報告会が盛り上がったことくらいだった。

 

いまでも僕はたまに考えてしまう。最寄駅が同じだったのに互いの家は行き来せず安居酒屋で飲んでばかりだった僕ら、志や目標を掲げて共に頑張るなんてことは気恥ずかしくてできなかった僕ら、1年会わないだけでまったく波長の合わなくなってしまった僕ら。僕と彼の4年半プラス半年はなんだったのだろう。その後の1年はなんだったのだろう。

 

 

おまえはちゃんと病気の治療をすると言った。俺はまだその気になれないよ。