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ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

お金②

人と寝食を共にするのは2泊3日が限界……。

俺はいびきがとてもうるさくて、彼に迷惑をかけてしまう。そのことをとても申し訳なく思う。彼は睡眠不足となり、俺は申し訳なさで心が重たくなる。

マイルームルールを知らない彼は、俺の生活を乱す。とはいえ、そうなることは百も承知で泊めたのだから、文句は言えない。ひとりで勝手にストレスを溜めていく俺の言動は徐々にとげとげしくなる。いばらの言動で彼を傷つけないために口をつぐみ動作を減らすと、ふたりの間はギクシャクしていく。

 

いびきを治すにも、ゲストルームを確保するにも、お金がかかる。お金があれば円滑に円満に大団円を迎えられたはずの無数の人間関係が、銭ないがゆえに壊れていく。

 

俺の育った家庭は金に困っていなかった(はずだ)。少なくとも、子供だった俺が親に気を遣ってチキンライスを頼むようなことはない家だった。2時間座り続けるフレンチのフルコースをこなすにあたって愚図る程度には恵まれていた。

だから俺は、お金で悩む必要のないことのありがたみというものを、知らずにここまで来てしまった。代わりに、それなりにお金があっても、人間関係(夫婦関係)はうまくいかないのだ、ということを知ってきた。

 

お金のある家では、時が来れば子供はひとりで眠るようになる。夫婦も寝室を別にするようになる。それどころか、別居することだってできる。

お金のない家の子供は、父のいびきに慣れ、母はいつ自分の横で寝ているのだろうかと不思議で、人の頭の上をまたいではいけないよ、と教えられる。

 

 

彼が「お前のいびき本当うるさかったよなあ〜」なんて笑いながら酒を飲み、おやすみと言ってゲストルームに引っ込む日が来ることを目標にして俺は生きたい。でも、もし俺がゲストルームを得たそのとき、彼が一文無しだったら、彼は俺に劣等感を抱き、泊めてもらったりお酒を飲ませてもらったりすることを申し訳なく思うかもしれない。お金があっても、人間関係はうまくいかないことが多々ある。

 

とはいえ、やっぱり、お金は必要に決まっている。みんなが金持ちになればいいのに。