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ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

実家

実家から歩いて10分ちょっとのコンビニに向かって歩を進めてたら、しとしと雨が降りはじめて、30秒後には全身びしょびしょに濡れてしまっていた。
街灯のない真っ暗の農道に雨宿りできる場所はないけれど、どうせすぐに行きすぎるスコールだったし、夜のコンビニにずぶ濡れで入っても恥ずかしいとかあんまり思わないタチなのでそのままコンビニに向かって歩いても良かった。
けれど薄手のハーフパンツのポケットにはスマートフォンが入っていたので、回れ右して家に帰ることにした。この機械が壊れたら、とても困る。走りながら俺は、なぜだかとても惨めな気持ちになってしまって、はやく東京帰りてえ、ってつぶやいてしまった。そのつぶやきをかき消すほどに雨音は激しかった。家の歪んだドアを開けるころには音はすっかり止んでいた。


ポケモンGOの地図で見ると、いま俺が滞在している家は実物通りコの字型に表示されている。コの上の辺が西、下が東。
この形がここに住んだ人たちの行く末を決めたような気もするし、この家の形の決定権を握った男が無意識のうちに住人が分断されてほしいと願ったような気もする。俺の父は建物の図面を書ける。
コの字の家は、東側に住人が偏りすぎて沈んでいった。この家の形を決めた男は、沈む前に逃げてった。ひとりまたひとりと家から去り、最後まで残った人はみんなを残して消えてしまった。
残された人たちは1年経ってもバカみたいにふらふらしている。

西の辺から東の辺に男がやってくるとき、男の足裏がフローリングをこする音が聞こえてくるので、東の辺にいる人たちは身構える。
図面を書ける男はもしかしたら、東にいる人たちに気づいてもらうために、足音を響かせているのかもしれない、と、いまはじめて俺は思い至った。



家に帰って、シャワーを浴びてから、コンビニに再チャレンジした。どうしても酒が飲みたかった。コンビニへと向かう道で女に電話をした。電話ができなくなったらやっぱり困るから、スマートフォンをかばって家に帰ったのはやっぱり正解だったな、と思う。右手で右耳にスマートフォンを固定しながら、左手にはビニール傘を持った。これでまた雨に降られても惨めになることはない。
電話を切ってお店に入り、兄弟といっしょに飲む酒を買って農道を戻り家に入って気づく、ビニール傘、コンビニに忘れてしまった〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!


これが昨日までのこと。
いまから傘取り行こうかなー、クソ暑いよなー、どうしよう。

 

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