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ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

気の毒なロマンティック・ラブ

大学入学前、村上春樹は学生結婚していたらしいことを知って、「学生結婚してえなあ」と思った覚えがある。未来もまだ何も決まっていないのに、ふたりの愛と信頼で結婚してしまえるなんて、ロマンティックだなあ、と。まあ、そのころの村上春樹の未来が決まってなかったのかどうかは僕は知らないのだけれど。


学生時代から付き合っていた恋人に卒業からしばらくしてフラれた。まあ、卒業以来無職なので当然なのだけれど。僕と別れてすぐに彼女は結婚相談所に登録したのだった。自分のことを棚に上げて僕は、そこまでして結婚しようとする彼女を少し気の毒に思ったのだった、失礼な話だけど。

 


この記事を読んで若い世代の女性がはやく結婚したがるのはこの時代のごく自然なふるまいなのだと知った。
確かに、何年か前、はやく結婚して専業主婦になりたい、という女性が増えているというニュースを目にした覚えがある。それに対して「けしからん」的な論評がなされていたような記憶もある。仕事も結婚も充実させるのが女性の理想の生き方だ! みたいに思っている人たちが言っていたんだろう。
しかし、少し考えればわかるように、早婚は極めて合理的だし当然の行動だ。「負け犬」だなんて言葉が象徴するように、30代半ばにもなって結婚できないのは、人生設計上かなり不利なのかもしれない。


まあ、無職の男は女性の人生設計に口出ししているヒマがあったら手足を動かしてその口につっこむ飯を自力で確保したほうがいいのだ。



それでもわざわざ書き始めたのにはもちろん理由がある、それは自分の「ロマンティック・ラブ」志向に気づいてしまったからだ。
最初に書いたように、僕は別れた女が結婚相談所に登録したことを知って「気の毒」に思った。「自然な」出会いで恋に落ち、心から愛する男と家庭を築くという「理想」を「まだ若いのに」打ち棄てて、「安定」した人生を希求して「合理的」に出会おうとする彼女を、どこかで見下していたのだ。甲斐性無しの無職のくせに。
僕はまだ、「未来もまだ何も決まっていないのに、ふたりの愛と信頼でしてしまえる結婚」を求めている。だから悩んだ末の元カノの決断を「気の毒」に思ったのだ。
しかしこのまま生きていって気の毒になるのは無論、僕の方だ。


そういえばさっきの記事にはこんなことが書いてあった。
「20代は男性も早婚志向なのが興味深い。学生時代から付き合った彼女と結婚したいから就職活動を頑張りたい、次に付き合った女性と結婚したいという発言が目立つ」。
そういう男がいる一方で僕のような男と付き合っていたらそりゃあ「愛されていない」と彼女は思うはずで、だから彼女が最後に言った「あなたは私にやさしかったけれど、大切にはしてくれなかった」という言葉は、実感の伴った重い重いものだった。