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ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

ファンの(俺の)ゲスな欲望を超えてくるサザンはすごい。

ローリング・ストーンズが11年ぶりに新作をリリースするってニュースをツイッターでちらっと見た覚えがあるんですけど、すごいですね。
高校生のころに学校近くの映画館でマーティン・スコセッシが撮ったライブドキュメンタリー『シャイン・ア・ライト』を見たときですら、年寄りなのにシュッとした体つき維持して踊って歌うミック・ジャガーすげえな…と思ったのに、あれから8年経ってなお精力的に活動していて、25歳にしてライブステージがベッドの上、パフォーマンスはベッドに横たわってスマホいじるかチンコいじるかしかない俺は、亀頭は上がるが頭は上がりません。あ、こうやって書くとミック・ジャガーに対して亀頭が上がってるみたいになりますね……。ミック・ジャガー72歳、いまなお現役なんすかね。

 

日本でいまなお第一線で活躍しているロックバンドといえば、サザンオールスターズでしょう。桑田佳祐は今年還暦になりました。すごい。
去年リリースしたアルバム『葡萄』は本当に良くってビックリしました。前作『キラーストリート』から10年間の桑田佳祐の試行錯誤がみごとに結晶していて涙無くしては聞けない作品です。
日本文学の名作にメロディーをつけて歌うというコンセプトのもとに発表した「声に出して歌いたい日本文学」(2009年)という大作メドレーを作ったことを機に、それまで音の響きを重視して作詞を行っていた桑田が、日本語の響きを意味を最大限生かした曲作りでの奮闘の結果、『葡萄』を作り上げたってのは本当に感動的でした。「ただの歌詞じゃねえか、こんなもん」と言い放った桑田佳祐が、歌い上げた日本語と日本、ぜひ聞いていただきたいです。


しかしまあ、なんといっても作品以上にそのライブが魅力なのがサザン。さまざまな伝説的ライブがあって、新参のファンは、かつての伝説を直に見て聞いたむかしからのファンを羨むものです。
デビューから90年代前半までのサザンのライブは映像化されておらず(VHSではいくつかあるんですけどね)、「TSUNAMI」からファンになった俺はあのエネルギッシュなライブを見れず、10年くらい臍を噛む思いを抱えております。なぜ10年かといえば、そのころまでは、ネット上にたくさんのライブ動画が上がっていたからなんですね。TBSで放送されていた年越しライブがたくさん上がっていました。しかし、いつからか運営の違法アップロードへの徹底した対応によって、サザンのライブ動画はほとんど駆逐されました。かなしいことです。


で、これから最低の話をします。
『葡萄』のリリースが発表されるまで、俺は、サザン解散しちゃえばいいのになあ、と思っていました。
もし解散したら、サザンというコンテンツを隅々までむさぼり尽くそうとした事務所レコード会社によって、過去のライブ映像がリリースされていくだろう。だったら、これから年老いていくサザンの面々によるライブを不安混じりに楽しみにしたり、かつての才気みなぎる作品も期待することなく劣化自作コピーのような作品を出されるよりもよっぽど楽しいんじゃないかと、そういうゲスな欲望を持っていました。
しかし、サザンは『葡萄』とそれに伴うライブによって、俺の最低な欲望を超えて、もっとこれからも彼らのつくる未知の音楽を楽しみにしていたいという新たな欲望を喚起しました。すばらしいアーティストはこんなふうにファンを楽しませてくれるんだなあと、ゲスだった過去の自分をさておいて、感慨にふけることになりました。

 

活躍し続けるためには、過去の自分を凌駕しつづけるかあるいは変化することをやめないことが必要なんだなあ、とそこそこの長さの文章書いておいて行き着く結論は凡庸。まあそんなもんです。
過去の自分を凌駕する、変化することをやめない、という点においては、サザンオールスターズローリング・ストーンズ以上に意欲的な活動をつづているように思うんですが、どうですかね。