ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

紙パックのお茶を買う貧乏人、ストローをつけない店員

貧乏人ほど、コンビニで1リットル容量紙パックに入ったお茶やらジュース買うって言いますよね、あれたぶん正しくて、おれがそうです。


高校生のころ、放課後になると予備校行く前に友人と必ず近くのコンビニで紙パックのジャスミンティー買ってました。まあそれは貧乏とかうんぬんではなくって、予備校で5時間くらい過ごすには1リットルってちょうどいい量だったからなんですね。貧乏人は家で飲むのに紙パック1Lのお茶を買ってしまうんです。それとこれとは別なんです。
高校生のころのおれは、テンションが上がらない日は、ジャスミンティーを諦めて500mlペットボトルのコカコーラとお供に柿ピー買ってました。自習室でボリボリ柿ピー食ってたんですけど、たぶん気持ち悪がられてただろうな。だから童貞だったんだろうな。自習室で柿ピー買ってる男子高生に誰がときめきますか、少しはカッコつけろと言いたい。……言いたいけど、言えない。だっておれは、自習室で柿ピーを食べることがかっこいいと思ってたから。ポテトチップスとかトッポとかグミとか、そういう子供じみたお菓子ではなく、どちらかと言うと酒のつまみである柿ピーを食べることは、あの頃のおれの基準では「かっこいい」だったんです。まあ人それぞれかっこいいの基準ってあると思うんですけど、柿ピーを食べる男子高生はかっこいい、と思ってたのは、かなりキツい。なんか異端な感じがするじゃないですか。異端がかっこいいと思っちゃうのは、若さゆえの過ちですよね。
受験生の頃はかなり太りました。村上春樹に言われるまで気づかなかったんですけど、柿ピーってめちゃくちゃカロリー高いんですよね。柿ピー太りしてた高校生のあの頃。

 

いきなり話が逸れたんですけど、紙パックの飲み物をコンビニで買うのは貧乏人ばかり、という話でした。

紙パック入り飲料を買うようなズボラな性格だからお金を浪費しちゃって貧乏になるのか、それとも紙パック飲料を買うようなズボラ人間はお金を稼ぐ能力がないから貧乏なのか、まあどっちにせよズボラな性格を直した方がいいと思うんですけど、とにかく紙パックの飲料をコンビニで買うことが常態化している人に告白とかされても断った方が吉だと思います。牛乳とか野菜ジュースなら全然いいんですけどね。お茶を買っちゃうタイプと付き合ったら交際期間中は細かい金ケチらない分もしかしたら楽しめるかもしれませんが、結婚するとなると、その日々の細かい出費に腹が立ってくるはずなので、お泊りデートの日にお相手がコンビニで1Lのお茶買っちゃったら「この人とは真剣交際はしないぞ」と決心した方が吉です。そして、甘いジュースとか買っちゃうタイプは完全にアウトです。甘いジュースを購入すると店員さんは長ーいストローつけてくれます。ズボラ人間はコップに飲料を注ぐことすら嫌うという性質を理解しての、彼らなりの思いやりです。本当は2L買えるお金で1Lのお茶を買ってしまうバカなズボラ人間へのささやかな優しさです。その差額が彼らの深夜勤務割増時給につながっているのですから。搾取とは言えません。だってもう少し足を遠くまで伸ばせばもっと安くでお茶が飲めるのに、おれたちはその労力を惜しんでいるだけなんです。
えーっと何の話でしたっけ。ああ、コンビニで甘いジュースを1L紙パックで買う人間とは、交際しないでください、彼・彼女は近い将来何か病を患うでしょう。だって、店員が好意でつけてくれたストローをその紙パックに挿して、その甘いジュースをものの1時間で飲み干してしまうからです。ズボラな男の子女の子は毎日そんなことをしています。ペットボトル症候群ならぬ紙パック症候群。ズボラは身を滅ぼします。

 


きょうはいつもと違うコンビニに入った、1リットル紙パックに入ったLiptonレモンティーをレジに持ってった。彼女はトレーニング中の札をそのなだらかな胸に貼り付けていて、愛想が悪くて、前髪を切りすぎていて、でもかわいかった。チークの重心がずれててかわいかった。尖った唇がかわいかった。彼女はおれのレジ袋にストローを入れなかった。帰ってきたおれはコップに注いだ1杯のレモンティーを飲みながらこの文章を30分かけて書いた。コップのレモンティーはまだ薄く残っている。