ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

銭湯に行くようになった

僕の住むアパートの目と鼻の先に銭湯がある。この部屋に越してきてから6年目になるが、その銭湯にはじめて入ったのは今年つい最近のこと。付き合いはじめた恋人に連れられてだ。 僕の地元・沖縄は温暖な気候のせいか、風呂に入る習慣のない人が多い。シャワ…

近況

ここ3週間くらいテープ起しをしていた。友人がくれた労働。自分がこれまで稼いだことのない大金のため、合計20時間くらいの音声をしこしこ文字に変えていく。俺はタイピングが人より遅いのでだいぶ時間がかかったし、そそっかしいので色々なミスをした。それ…

島本理生「リトル・バイ・リトル」感想文

著者20歳のときの小説。 橘家は母とふたりの異父姉妹、8歳のユウちゃんと浪人中のふみ(「私」)の3人暮らしだ。もっといえばペットのモルモットがいて3人+1匹の生活だったが、こいつは途中で死んでしまう。 ふみの通う書道教室の柳先生の妻も死んでしまう。彼…

散歩者

そうか、ここは“ひっそり”なのか。 夜中、バドワイザー片手にいつもの大通りを歩き、すぐに飲み干してしまったので、コンビニに入る(ハイネケンってかすかに野菜ジュースの味がしないか? バドワイザー、薄くてうまい)。缶コーヒーとタバコを買ってしまう。…

『PARKS』(瀬田なつき 2017年)感想文

瀬田なつきは『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』、『5 windows』を見てとても好きになった監督だったので期待していたけど、『PARKS』は鑑賞中ほとんど興味を持てなかった。登場人物たちにはまったく共感できないし、もっと聞きたいと思った音楽もぶつ切…

死ぬ

ドン、と音がして少し走った後、「やっぱりぶつかったんだと思う」と言って車を止めるので、みんなで外に出ると、通り過ぎた夜のアスファルトの上にはやはり鳩が転がっていた。あーあ、とうつむいた後ですぐに母は車に戻り、靴の空き箱を助手席から持ってき…

「志の輔らくご」in赤坂ACTシアター 「仮名手本忠臣蔵」&「中村仲蔵」感想文

立川志の輔「中村仲蔵」をゴールデンウィークに見に行った。 ライブや落語とかって「見に行った」でいいのかな、といつも思う。ミュージシャンのライブは基本的には聞くものだけど、でもライブ・パフォーマンスというくらいなので、動いてるさまや衣装、舞台…

ツキ

さっき見たおぼろ月は寺の屋根の上にもんもんと浮かんでいて頼りなかったけど、今はしっかり夜空に張り付いている。宇宙に浮かんでいる、というよりも夜空に穿たれたのぞき穴みたいだ。神でも仏でも死んだ母親でも誰でもいいのだけれど誰かがあの穴の向こう…

「危ないことするなよ」

毎朝「危ないことするなよ」という母の寝ぼけた声に送られていた。 母は夜ふかしばかりしていて、小学生のころはいつも僕が下校する時間に起床していた。ある深夜、尿意を感じて目覚めた僕がトイレに行こうとすると、ダイニングの椅子のうえで膝を抱え、テレ…

散歩①

とても気持ちが良かったのでひとりで散歩した(ひとりでも散歩ができるようになった)。 散歩のお供にコーヒー屋で「本日のコーヒー」を注文した。とてもうまかったが、アレはいったいなんだったんだろう。 カカオ90%くらいのチョコレートのようにビターで、喉…

幻の公園

コーヒー屋を後にして散歩していたら、ある公園のことをふっと思い出した。 いまからどれくらい前のことだったかは思い出せないのだが、家から一駅分くらい離れたところをひとりで歩いていたら、とても感じの良い公園に出くわした。でも公園に入るのはまた今…

ぼくがうっとうしい

書くとか話すとか読むとか聞くとか本当に難しい。 文章の場合、たいていはそれが何について書かれた文章なのかという情報があらかじめ提示されている。あるいはそれが読むに値するかどうか価値判断が誰かによってなされていてそれを参考にする。小説を例にと…

子供の勘違い

「どうしておなかがへるのかな/けんかをするとへるのかな/なかよししててもへるもんな/かあちゃんかあちゃん/おなかとせなかがくっつくぞ」(「おなかのへるうた」) 小さいころこの歌を聞いて歌ってた僕は「お腹と背中がくっつく」のフレーズの意味を誤って捉…

報告

「実家出ると親と妙に仲良くなったりしますよね」って言葉を聞いたけど、俺は真逆だった。 実家に住んでいるころは、母とよく話していた。喧嘩も多かったが、翌朝にはどちらからともなく歩み寄ることができた。俺も毎日いろいろなことを話していた。友達の愚…

「ちょいと寂しいね」 小津安二郎『秋日和』(1960年)感想

三輪の七回忌。寺に集まった三輪の妻秋子(原節子)とその娘で未婚のアヤ子(司葉子)は、三輪の友人たち間宮(佐分利信)、田口(中村伸郎)、平山(北竜二)の相手をする。3人は24歳のアヤ子に縁談を持ちかけるが、彼女は笑ってごまかす。母・秋子をひとり残して結婚…

腹が治る

先週の火曜日から腹痛と下痢に悩まされ、木曜日医者に診てもらったら「週明けには治ると思いますよ」と言われて本当に今日ほぼ治った。問診と触診だけで見通す医者すごい。 しかし下痢のせいで痔が終わった(あーどうしても言いたくなるなあ〜〜〜〜)。ずっと…

腹が痛い

3日くらい腹痛と下痢が続いてる。 昨日ようやく「薬を飲む」という解決手段を思いついた。それまで腹痛は自然に治るものだと思っていた。薬局へ行き、買ったその場で錠剤を噛み砕くが効果なし。恋人に促されに促され、涙をこらえて病院へ行くと、医者に「週…

夢日記(ゴルフコース)

体調が悪くて今日はずっと寝てた。夢を見た。 実家からほど近いゴルフコースに、家族4人で来ている。誰もゴルフをする気はなく、各コースのティーからカップまで、4人全員それぞれの速度でひたすら歩きつづけている。それぞれの速度で歩いているが、先に行く…

男がドヤ顔で語る恋の思い出 『ラ・ラ・ランド』感想文

冒頭ハイウェイでの長回し(風?)ミュージカルシーン、曲のラストでカメラの高度が上がり、撮影のために封鎖した車線以外では車が走り続けてるのを見せるんだけど、この映像に「この撮影のために道路封鎖したのすごくない?」という自慢を見てしまい(いや、…

あいかわらず

朝日が照らし出した人影はカーテンを歩く。朝。昨日は飲みすぎた、と思ったが、昼過ぎから飲んでたってだけで、量はそんなに飲んでいないはず。今年のはじめから、俺の住むアパートは鉄の足場で囲まれている。足場を男たちが歩く。 春が来たら足場は撤去され…

中学生男子ふたりして公園。

ふたりの中学生男子が柵から身を乗り出して池を覗きこみながら話している。 「『マリー&ガリー』録画した?」「してない」「えー!じゃあ早く帰らなきゃ!」「うん、そうだね!」「ブランコ乗ってく? ブランコ乗ってく時間ならあるよ!」「うん!」と言って…

《いま》

目が覚めたので朝っぱらに書く。 今朝(2月14日の朝)、父が末期ガンになる夢を見た。おまけにその夢は、父が死ぬ直前、母まで末期ガンを宣告されるという救いようのないものだった。夢のなかの母は、俺が思っていたよりずっと気丈に振る舞った。 さっきのは夢…

AbstracTokyo

心が鬱々としているときは死にたいなあとか消えたいなあとかぼんやり思うもんだが、実際に体調が悪くなると死にたくないよおと泣く。 でも最近は心が鬱々としているときでも死にたくないなと思っている。死にたくない。死んでほしくない。こういうのって、死…

風船

橙色のゴム風船が駅東口の吹き溜まりで風に巻かれ行き場をなくしていた。仕事に向かう恋人を改札で見送り、自宅に戻るときに見た光景。多分どこかの店頭で柱なんかにくくりつけられていたやつが、なにかの拍子で転がってきたんだろう。なんとなく目が離せな…

節分

節分が好き。他の年中行事と比べて、資本主義に乗っ取られていないし、幸福なひとたちが浮かれるというよりも、幸福になりたいね、とか、幸福でいつづけようねといったニュアンスがある、いや、というよりも、最低でも不幸にはならないようにね、みたいなコ…

『マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション』

『マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション』見た。タイトル長ったらしいけど要するに『怒りのデス・ロード』モノクロ版。 正直みんながV8V8言ってるころは全然ノれなくて、1回しか見てなかったから、これも見る予定はなかったんだ…

心残り

九龍ジョーが「SPADE」という雑誌に書いたエッセイ「東京で聖者になるのはたいへんだ」を読んだ。2016年11月12日から同年同月18日までの、彼の11月の7日間が書かれた文章なのだが、しかしその1週間は、高学年の「アリマ」による「圧倒的な暴力」にさらされた…

食べまくりたい

コンビニ弁当やら半額のお惣菜やらでだらしない体になってしまい、実家にいるころはそれなりに良いものを食べさせてもらって繊細に守られていた舌も今は完全にチューニングが狂ってしまった、と思っていたのだけれど、最近手づくりの料理を食べさせてもらう…

かなしみだけ覚えていたい

帰京して3週間近く経ったのに、まったくブログを書かなかった。体調が悪かったり、治ったり、遊んだり、少しだけ(ほんとうに少しだけ)働いたり、寝てばかりいたらあっというまに3週間近く経った。いろいろなことがあったし、いろいろなことがなかったけど、…

ずっと

帰省初日の大掃除がたたって鼻炎悪化ノックダウン。鼻炎がもたらす倦怠感はインフルエンザのそれに匹敵する……。マスクしててもホコリにやられた。今日は午後5時まで寝ていた。とは言っても、眠ったのは午前5時で、それから11時くらいまでは、眠る、悪夢、覚…

実家②

実家に帰ってきた。帰ってきてすぐ元自室の掃除、窓拭き、犬小屋周辺の掃き掃除をした。最初は自分の寝る場所を確保するための掃除だったけど、窓拭きあたりから意識が変わってきた。 これまで当たり前に綺麗だった実家は、母が死んでからあっというまに汚く…

彼/女

ちょっと今日会えないかな、とメールが来た。朝と昼のあいだのその時刻、俺は女とビーチにいた。そう伝えると「じゃあ海浜電車で今から向かう」との返信。 これから友だち呼んでもいいかな、と尋ねると女は「ダメって言ってもいいの?」と笑った。 2時間後、…

シンゴ

今日こそ勝つ、と決意した。 背の低いシンゴの太い首を握る右手に、俺は力を入れなおした。ここで手を離すから、いつも逆襲を喰らうのだ。でも、もう潮時だ。勝たなくてはならない。 これまでの俺は勝利におびえ、勝者の責任から逃れたくて、負けていたのだ…

別れと出会い

上京してからというもの、年末は12月27日あたりに帰省することが多かったせいで、なんだかそわそわする。本当にきょう飛行機乗らなくていいんだよね?しかし、無職だからこんなそわそわを味わえるのだね。27日火曜日ってまだまだ仕事納まらないとこばかりだ…

足場

朝、完璧な眠りに落ちかけたところで、ベッド脇の大きなガラス窓が乱暴に揺れて目が覚めた。窓の揺れる音と共に「すみません!すみませーん!」と大きな声もする。 1ヶ月ほど前から、このアパートは四方を鉄の足場に囲まれ、布を被された。外壁工事が行われ…

思い出したら泣けてきた。俺はマザコン。

いじめられたような思い出をさっき書いたけど、 やっぱりあれはいじめとはちょっと違うかもしれないと思えてきた。 ベランダに締め出された俺をガラス越しに観察したり、ジャンケンで示し合わせて俺をひとり負けさせた彼らは、当時それをいじめだと認識して…

顔面を蹴り上げる男 ~給食当番制反対~

人生でいちどだけ、顔面を蹴り上げられたことがある。 中学3年生。それまでゴミ袋に放り込むだけだった牛乳パックを、リサイクルのために、きれいに洗って広げて干して乾かすというルールができた。それは大して面倒なことではないのだけれど、そういう改革…

クソガキ

「少年が主人公の小説に欠けていて、少女が主人公の小説では描かれているもの、それは他者に真実を告げるか告げないかの葛藤だ」みたいな文を目にしたことがある。俺は小説をあまり読まないので真偽のほどはわからないし、そのような印象を抱くことすらでき…

ハードボイルドフィアンセ

6回目の鑑賞を終え映画館を出たらそこは焼け野原だった。俺は瓦礫のなかを早足で行く。前を行く家族を追い越すとき、そのなかにいたおじいさんの足に、俺の足が引っかかってしまった。彼は転んだ。しかし先を急いでいた俺は立ち止まることなく振り返って謝っ…

毎日は手作り

模様替えをしたら案の定、鼻がつまった、眉の裏側が痛い。 きょうは5時の鐘を表参道で聞かないといけない、表参道に5時の鐘は鳴らないか……。 目覚めてからだいぶ経つ。きょうは早々に小便に行った。ベッドに戻ってきて、カーテンを少し開け、底ぬけ(天抜け?…

5時の鐘

パンツは洗いそびれてしまったから、水着を履いて寝た。半袖のTシャツに水着、羽毛の布団に包まったまま、テーブルに置きっぱなしのコップに入った麦茶を飲む。マクドナルドでもらった背の高いコカコーラのコップ。暗い部屋でベッドに溺れる。天気がわからな…

<ハンドメイド下北沢>にて 〜大森靖子を「下北沢にて'16」

下北沢駅近辺のライブハウス各所で同時多発的にライブが行われるサーキットイベント「下北沢にて'16」にて、大森靖子のライブを見た。個人的には「大森靖子生誕 大コピバン祭2016」以来の下北沢GARDEN。 GARDENにおもむく前、Lagunaでクリトリック・リスを見…

読むに値する文章

書こうと思っても書けないときはスマホで書くに限る。ということで、この文章はボロボロのスマホよりお送りいたします。 自分専用のパソコンを持ったのは上京してからのこと。専用パソコンももう2代目で、実家にいるころよりもタイピング自体は速くなったけ…

「大森靖子の続・実験室 vol.23」ラフレポート 大森靖子のファンとの距離感

ZEPP TOKYOでのツアーファイナルから3日後の11月21日、大森靖子ファンクラブ「実験現場」会員限定イベント「続・実験室 vol.23」が、新宿ロフトプラスワンで行われた。客から集められた感想アンケートに従って、ツアーを振り返るのがこの日のイベントテーマ。…

エドワード・ヤン『タイペイ・ストーリー』(1985年)雑感 

ちょっと前に東京フィルメックスで『タイペイ・ストーリー』見た。主演のホウ・シャオシェンからビデオメッセージが届いていますのでそちらからご覧ください、って言ったかと思えば、そのありがたいメッセージが流れる前のスクリーンには、5分間、さまざまな…

ひとりでラーメン屋に来てラーメンに集中しない女が苦手、あるいはうまいラーメン屋の見分け方について。

ラーメン屋でひとり麺をすする女性を見るのが苦手だ。もっと正確に言うと、女がロングヘアーをヘアゴムで束ねることなしにそれを非利き腕でおさえつつ麺をすすり、あまつさえ、麺をもぐもぐしながら遠くを見やってしまっている感じが、すごく苦手だ。男には…

人はすごい

俺は、ポップミュージックの自作自演家がもっともかっこいい存在だと思う。自身の歴史と感性を道具に作物をつくりあげ、それを身体ひとつで何度も何度も人前で再現するに留まらず、革新していく。同時に、活動が続くにつれておのずから更新されゆく己の歴史…

「あなたをフォローしています」  大森靖子 Tokyo Black Holeツアーファイナル in ZEPP TOKYO感想文

たとえば、フォロー数10000人のアカウントにフォロバされて、その人について言及したらエゴサされてふぁぼられて、って、そんなことされても俺は全然嬉しくならない、どうせ俺のつぶやきのすべてをこの人は見てくれるわけがない、と思うから。でも大森靖子の…

大森靖子生誕 大コピバン祭2016(9.18 下北沢GARDEN)の遅すぎてちょっと長い感想文

きのうは「大森靖子生誕 大コピバン祭」に行った。と書きはじめてからだいぶ経ってしまった……この間、発売延期で心配していた大森さんのニューシングルは、小室哲哉作曲というビッグニュースがあったせいか、もうコピバン祭も遠い過去のように思える、と書い…

スカート

部屋の片付けをしていたら、積み重なった本の下から黒いビニールの包みが出てきた。しまった、と思う。何年か前に誤って投函された、知らない人宛の荷物。宅配業者に、あるいは本人の自宅に(彼女の住所は俺の家からそう遠くなかった)届けよう届けようと思い…