ひとつ恋でもしてみようか

いつも同じようなことを言っている

凡庸になっていく

いま住んでる部屋は2階にあって、妻が出かけるときは2階の窓辺で手を振り、彼女の背中が木のかげに隠れて見えなくなるまで見ている。俺が出かけるときは妻が窓辺に立ってくれる。 来週から住む部屋は1階にあって、ちょっとした庭もあるのだけれど垣根がある…

輪郭

あかんぼうの成長が著しい。最近は自分の手に興味を示し出した。おもいきり開いた手のひらを見つめ、おもむろに口に含む。以前は“指しゃぶり”というよりも“拳しゃぶり”だったが、親指だけしゃぶることを覚えた。自分の手のひらを知り、それぞれの指の分離を…

車の自由

地元の沖縄には電車が走っておらず、ゆえに線路はなかった。自動車教習所のなかに踏切はあったものの、それは架空の踏切というべきものであって、実際的な踏切は沖縄に存在しない。 だから、未だに踏切を通るときは緊張するし、新鮮な気持ちだ。踏切を通過し…

「大森靖子生誕祭」(2018年)感想文、大森靖子の歌を血肉化するということ。

9月18日、大森靖子の生誕祭ライブに行った。 グッズ買いたいな、と思ってお金を多めに持ってLIQUIDROOMに向かったが、物販の列に並びスタッフの方に購入したいグッズを伝えるというのにどうしても気後れしてしまって、けっきょく何も買えなかった。開演まで…

記憶、この頼りにならないもの。

生後4ヶ月を迎えた子供の眠る頬を見ていると、野原しんのすけの輪郭に納得できた。あのいびつさが実はリアルだったということ。生きているといろいろ気づけるのでやっぱり生きていくほうがいいと思った。 娘を寝かしつけた妻と直近の未来を話し合って励まし…

おもしろくなくていい

我が家の猫はきっとバズらない。活発に動き回ったり好奇心旺盛だったりするわけではなく、ふてぶてしく寝ているばかりで、その寝顔も真っ当にかわいすぎるわけでもブサカワイイわけでもない、ただ猫らしくかわいいだけ。 この猫がネットでバズるような仕草や…

濱口竜介『寝ても覚めても』感想文 あっさりと真実を選ぶその身振りと華麗な翻意、切実さ。

『寝ても覚めても』がとても良かった。 この映画に出てくる登場人物たちは、自分の感情や正義に忠実に生きている。彼らの主義や言動は“一般的”には凡庸だったり反動的だったりもするけれども、本人たちにとってそれはとても切実なもので、たとえ人間関係が決…

オーパッキャラマド

「きらきら星」を歌ってやると、我が家の生後4ヶ月弱の娘がえらく喜ぶことを、妻が発見した。歌いながら手のひらをひらひらさせると、手足をジタバタさせて笑う。泣きはじめたくらいのタイミングだったら、きらきら星を歌ってやると“きらきら光る”の段階で泣…

子供のころにできた友人と、大人な付き合いしたくない

妻は友人が多い。俺は友人が少ない。 妻は人が好きだから、人からも好かれるのだと思う。妻はとてもいい人だ。 ひるがえって俺は、やっぱり人がそこまで好きじゃない、人にあまり興味をもてない(話がずれるのでかっこで話すが、人に興味がもてない自分に気…

気づきたい

むかしは妻と散歩しているときに、おもしろいとこに気がつくね、と言われたものだったけど、いまの俺は何にも気づいてない。仕事のことで頭がいっぱいになるか、自分に至らなさにイライラするか、娘かわいいなあと思っているか、妻と結婚してよかったなあと…

猫の聖水

隣で寝る赤ん坊が身じろぎをしてつられて目覚めた朝、赤ん坊の背中をとんとんとたたきなだめていると、猫が部屋に入ってきて、敷布団に横たわる俺の足元に座りこんだ。彼の神妙な面持ちに、これはおしっこだ、と寝ぼけた俺は気づくが、すでに出し始めている…

3000字書いてみる

自分の体になじむ言葉を忘れてしまった。いや、そんなもの初めからなかった。俺は誰かに読んでもらえるのが嬉しいから書いていた。あの文章よかったね、と言われたくて書いていた。 でも今は散歩するように書きたい。自分にしっくりくる言葉が欲しい。 散歩…

聞いてくれ

andymoriをはじめて聞かせてもらった淵野辺駅近くの、といっても線路沿いに15分くらい歩かないと着かないロフト付きのワンルームに行きたい。 8年前、夏の夜、ボール型の安っぽい空気清浄機、俺の部屋にはない姿見、実家から持ってきたという大きなデスク、U…

めざめる

目が覚めて意識を取り戻すころには仰向けに体を横たえたまま、あかんぼうを抱いている。あかんぼうの泣き声・ぐずる声に反応して、頭で考えるよりも先に体が動いてしまっている。ここ最近はほとんど毎日そんなふうに朝を迎えている。娘より早く目覚めたこと…

紀州犬と冷蔵庫のなかの無線

Twitterアプリを削除して2週間くらいになる。Google Chromeでツイッターを見ることもあるので、タイムラインを一切確認してないわけではないのだけれど、心の安定にとてもよい気がしている。 Twitterを見ない代わりに、テレビのワイドショーをよく見るように…

怒りに疲れてTwitterアプリを消した

ツイッターアプリを消した。他人の怒りを感じつづけることに疲れ、彼らと同じように怒れない自分を自覚してむやみに落ち込むことにうんざりしてしまったから。アプリを消すとツイッターへのアクセスは断然減る。 昨年末、宇多田ヒカル「あなた」の歌詞に痺れ…

Eテレ「猫も、杓子も」を見た

昨日テレビを見ていたら偶然「猫も、杓子も」という猫番組に出くわした。 “ネコメンタリー”を標榜するその番組は、作家と猫の暮らしを映し、それに飼い主である作家が文章を添えるというドキュメンタリー。 僕が見たその回は、小説家の吉田修一と、その飼い…

ライターに向いてないのか、仕事全般ムリなのか

ここ数日なんだか気分が上がらないな、と思っていたら、原稿が3つあるからだった。どれも取材自体は楽しかったり興味深かったりしたんだけど、テープ起こしをして、文章にまとめるっていう行為に対して、すごく腰が重い。テープ起こしを外注できたら少しはマ…

ブログを止めるな!

取材を終えて、南青山を円山町へ向けて歩く。どこかの銭湯にひょいと入って30分以上かかる道のりで流れた汗を流したい、水風呂にざぶんと入りたい、人目を盗んで冷や水に頭のてっぺんまで浸かりたい。でも、今日は久々に映画を見に行くので、ぐっとこらえた…

大森靖子さんにインタビューしました

今日7月11日にアルバム『クソカワPARTY』をリリースした大森靖子さんにインタビューしました。 大森靖子、NEW ALBUM『クソカワPARTY』リリース・インタビュー。「このアルバムで“大森靖子”は死に、再生する。」 – DE COLUM 大森さんの話す言葉ってほとんど全…

昔はもっと濡れていた

水に濡れた思い出は多い。 小学生のころの春の遠足では毎年川や池に落ちてずぶ濡れになるというジンクスがあった。5年生のとき「今年こそ濡れてたまるか」と思っていたのに、公園の池にかかる橋から水筒を落としてしまい、足で挟んで回収しようと発想したぼ…

初夏にして君を想う

生まれてはじめて日射しを浴びた赤ん坊はつむっていたまぶたにシワを寄せる。総合病院のロビーは4階までの吹き抜けだ。天窓から差し込む正午の光が胸元に抱く赤子に当たらないように、僕は腰を曲げて日差しを遮ってやる。これからこの子を妻のもとへ連れてい…

小沢健二「春の空気に虹をかけ」雑感。見ること見られること

小沢健二のツアー「春の空気に虹をかけ」は初日の国際フォーラムと日本武道館1日目に行った。 国際フォーラムのあと、同じ会場にいたという友人と話す機会があって彼は「国際フォーラム良かったけれども『魔法的』のほうが何回も見に行きたいツアーだったよ…

はまちはらみ

さいきん昼夜逆転気味だったこともあって、昼過ぎまで寝た。それまで一度も目を覚まさなかった。妻も低気圧にやられてか体調が優れないようで、同じタイミングで目覚めた。もう臨月だ。 起き出してすぐ、お腹か空いたという妻とコンビニへ向かう。月刊になっ…

風が強い

今年の春は風が強いように感じるが、昨秋引っ越してきたこの土地が風の通り道として優れているからそう感じるのか、それとも東京でも風は吹き荒れているのかがいまひとつわからない。天気予報はたしかに「風に注意」とばかり言うが、東京の風もこれくらい強…

仕事たのしいです。

ニートのころは仕事がこわかった。バイトもろくにしたことがなくて、自分には何もできないと思っていたし、人から教わるのも叱られるのもイヤだった。 でもいざ教わったり叱られたりすると、案外素直に受けいれられるし、ありがたいとすら感じる。「仕事でし…

白いブラウスとグレーパーカー

新宿のガストで昼食をとる。まだ春休みなのか、中学生くらいの子供たちが多い。 向かいのテーブルに座る女子中学生ふたり。通路側に座っていたグレーのパーカーを着た女の子がトイレに立つと、壁際のソファに座っていた品のいい女の子が見えた。真っ白のブラ…

今日

サニーデイ・サービスのライブを見に渋谷に来た。早く着きすぎたので缶ビール片手に奥渋谷に向かい、緑道に座って飲む。妻と結婚するより前、なんなら付き合ってもいないころに、ここに並んで座ったのを思い出す。 暇つぶしにグーグルマップで現在地周辺を見…

われわれは妊娠している

われわれは妊娠している。 妻のお腹のなかに胎児がいる。去年9月にわかった。入籍は11月。そう書くと「授かり婚なの?」と思われるかもしれないけど、入籍は11月と以前より決めていたので、妊娠がわかったから結婚を決めたわけではないと最初に言っておきま…

行けなかったライブのこと

ぼくにとって銀杏BOYZ、ゴイステの曲は、峯田が歌うものじゃなくて、ぼくらが歌うものだった。 童貞ソー・ヤング、もしも君が泣くならば、星に願いを、駆け抜けて性春、グレープフルーツ・ムーン、援助交際、夢で逢えたら、銀河鉄道の夜、惑星基地ベオウルフ…